二十九年度入学式 式辞

本日入学を迎えられた二百名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。ご臨席の保護者の皆様方にも愛知教育大学附属高等学校を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。
本日の入学式には、ご多用のなか、愛知教育大学理事、中田敏夫様をはじめ、ご来賓の皆様にもご臨席いただいております。高いところからで恐縮でございますが、厚く御礼申し上げます。
新入生の皆さんは、これから始まる高校生活に胸を膨らませていることでしょう。難関を乗り越え、五十九校の中学校から夢や希望を胸に本校に進学されたみなさん。新しい友達との出会いを今日から楽しんでください。
昨今、人工知能の発達がめざましく,さまざまな仕事への影響が始まっています。今ある多くの職業がなくなるという予想もあります。みなさんが今就きたいと思っている職業もみなさんが就職する頃には大きく変わっているかもしれません。不安に思う人もいるかもしれませんが、安心してください。少子化の時代、みなさんはこれからの社会を支えていく貴重な人材です。みなさんが活躍できる新しい仕事が必ず生まれてきます。
でも、そこで活躍するためには、みなさんの今の力をさらに伸ばしていく必要があります。標語的にいえば,人工知能にはできないような力,人工知能を使いこなすような力をつけていくことが求められると思います。
そのために最初に必要になることは,基礎的な知識・技能を身につけることです。興味・関心も大切ですが,一定の学力がなければ,目の前の現象を理解し、問題として感じることも難しいのです。日々の授業を大切にして、着実に積み重ねていきましょう。
授業では,知識・技能の習得以上のものを求めていきたいと思っています。人工知能には苦手だからこそ,人間にとって大切と思えるところに力点を置きながら進めたいと思います。
たとえば,疑問を感じる力や問題を発見する力を大切にしたいと思います。コンピュータは決まりきった解き方で問題を解くことは得意ですが、解き方が下手でも、そこに疑問は感じません。新しい解き方を見つけることは苦手です。そして、新しい問題を発見することはさらに苦手です。
問題を発見することは一見難しいことのように感じます。しかし、みなさんが今まで数学の問題を解くときでも,機械的に当てはめるだけで問題を解いたわけではないと思います。問題の難しさを実感したり,そのために何かをしたり,知的なバトルをしながら解決していたと思います。
自分が感じたこと,困ったこと,こうあってほしいと思うことなどいろいろなことを言葉に表現してみると,周りの友達とは違うことなど,いろいろなことが見えてくると思います。それを踏まえて次に何をするといいのか。そういう意思決定のプロセスに焦点を当てるだけで,人工知能には苦手なところに焦点を当てた授業が生まれていくのです。
そういう授業にするために,先生も努力すると思います。でもそれだけではうまくいきません。みなさん自身が授業の主役として,自ら表現し,関わりあい,そして解決していく。そういう主体性を,授業の中で実現してほしいと思います。
附属高校での学びは,授業だけではありません。教科の枠に収まらないところには、みなさんの進路に結びつくさまざまなチャンスがあります。ですから私たちは、授業だけでなく、さまざまな出会いの機会や考える機会を提供したいと思っています。
本校は愛知教育大学の附属高校です。愛知教育大学は教員養成を目的とする広域拠点大学であり、いわば教育の総合デパートです。教育に関するさまざまな専門家がいます。教育学・心理学・特別支援の専門家もいます。国語・社会・数学・理科・外国語などそれぞれの教科の内容の専門家もいます。そこには美術・音楽などの芸術家や体育のアスリートも含まれます。私の研究分野は数学教育学といいまして、数学の授業で扱う内容や方法などを研究する分野ですが、そのような教科教育学の専門家もいます。
いろいろな分野に渡る約二百五十名の教員が、国内外のいろいろな地域のいろいろな方々と連携しながら、研究し、そして約四千名の大学生・大学院生を育てています。この教育環境の中には、みなさんが新しいおもしろさと出会うチャンスが必ずあると思っています。
本校では、高校と大学の連携を行います。愛知教育大学への進学を希望する方にも、違う分野に進学を希望する方にも、いろいろな形で出会いのチャンスを豊富に提供します。ぜひ、生かしてください。
最後に、保護者の皆さまに申し上げます。新しい制服に身を包んだお子様の晴れの姿に、お喜びも格別でしょう。お子様の健やかな成長と、そして安全を願う気持ちは、私たち教職員にとりましても同じことでございます。本校に入学されたすべての生徒が、それぞれの能力や適性を伸ばせるように、教職員一同、情熱をもって指導にあたる所存でございます。
お子さまがたの健全な育成という目標に向かって、ご協力賜りますようお願い申し上げまして式辞とさせていただきます。

平成二十九年四月六日
愛知教育大学附属高等学校長
飯島康之